史の詩集  Fuhito Fukushima

福島史(ふくしまふひと)の詩集です。

2022-01-01から1年間の記事一覧

Vol.12-3

46.雪を愛する 深く深く雪に閉ざされた冬 一人悲しく外を見る 雪は やむことを知らず 僕の心に積もっていく ああ あの暖かい日だまりは 木の葉の中に舞い散ったのか 北風がからっぽの腹を吹く 語りかける人もいず 荒れ狂う海 安らぎを知らず 語りかけてく…

Vol.12-2

26.君は世界を意味づける「棒歌」 君に捧げよう この歌を 僕の全てを賭けて 君に告げるため 君に捧げよう この歌を つまらぬ男だって その胸に入り切れぬほどの 夢を持つことはあるさ (神様は禁じてはないもの) その夢の中に 君ほどの女を呼びこんでも …

Vol.12-1

Vol.12 1.あなたの色 僕の心臓に カラフルな色で 美しい絵を描こう 晴れた日の透みきった色で 大きな空を 広い海を にぎわいだ街を 活気にみちた人々を だけど いつも不用意にでてくる あの色 どす暗く 不明瞭でつかみようもない ぼんわりと広がり 絵を損…

Vol.11−2

詩Vol.11 31.恋狂 ああ 白棒の木よ おまえには 僕の前に広がる大海の荒々しさを それを渡っていこうとする僕の力強い決意を 僕のこの見にはあまりにあふれるのが もったいなくて 活かしてやったもんだね その僕が今日は 情けないくらいに ズタズタの心をひ…

Vol.11−1

詩Vol.11 1.月影 あなたは月を見るのが好きでしたね だから 今宵もどこかで見ているでしょう だって 今宵はこんなに美しいんですもの あなたは月しか見ない人でしたね 夜空の満天の星を従えて、ひときわ大きく輝く月 そう あなたもまた 月のような人だった…

Vol.10-2

詩Vol 10−2 41〜65 12/5 詩Vol 10−3 12/10 41〜88 12/5 8800 41.待つ 僕は待つ ただひたすらに 遠く思いうかべる 君を待つ たとえ君の心に はや 僕は消えうせ 君が 僕の見知らぬ男を 慕っていたとしても 僕は待つ ただ ひたすら 遠く思いうかぶ 君を待つ …

Vol.10-1

Vol.10 1.恋心 君が気まぐれに 振り向くからいけないんだ 僕を思っているわけじゃないって 知りすぎているけど 一抹の期待をしてしまう 何度も 裏切られ 胸を引き裂かれ 心きしみ 痛み感じぬほどえぐられ それでも愚かな 我心 それでも愚かな 恋心 抜け出…

Vol.9

詩Vol.9 1.悲しむなよな そんなに悲しむなよな 俺だって 悲しいよ 叫び疲れて のど枯れて 結局 昨日とまた同じ 友もなけりゃ 酒もない 女もなけりゃ 飯もない みじめだよなー わかるよ わかるよ わかっているよ いいかげん 自分を慰めていると よけいみじ…

Vol.8

Vol.8 1.風にのって 風にのって ふるさとに帰ろう あの丘に登り 大の字になり 土になろう 果てしなく澄んだ青い空 草の匂いは すっぱく 太陽はいつまでも落ちない ずっと そうして 遠く広がるふるさとをながめていよう ふと思い出すのは あの日のこと あれ…

Vol.7-2

26.ジレンマ そこにやりたいものがある だから やらなきゃいけない それをやることが 僕にとって 何よりも幸せを感じることになる but・・・ そこにいきつくのは あまりにも遠い だから ときどき 僕は見ぬふりをしたくなる そこから逃げたくなる 燃える心…

Vol.7-1

詩Vol.7 1.僕の部屋 壁に閉ざされた 灯りひとつない部屋 出口が見えないなら 窓をあけて飛び出るはずだった その窓もない 突き抜けられない壁 天井 床 ドアも消えた部屋 外には光が満ち 溢れてるはずだった いったい僕はどこから 入ったのだろう 2.冬の…

Vol.6

詩Vol.6 0035 「雪」君は 窓に額をつけて 外をみていたぼんやりとうつろな目でみていた皆は不思議がってたずねた君は答えた 「雪が白いから」皆は笑った でも雪は白かった君は白い息を吐きながら 外をみていた曇ったガラスをぬぐってみていた皆は何をみ…

VOL.5 586〜595

86.遅すぎた秋 愛かもしれぬと 気づいたときは おかしくって おかしくって 古い思い出に しばられて 本当の僕の心は 飛んでしまった 夜空の下の 田んぼ道 笑いながら 送ってあげた 君だから 送ってあげた 僕は照れてしまっていただろうか 想い出は そうな…

幼き恋     585

幼き恋 いじめたい気持ちは かわいいからよりも 幼い愛そのものだった なんて 女になりゆく君を見ながらも しいて目を伏せていた僕 女としてみることもなく 別れの予感 知ったから 女になりゆく君をそのまま 僕の手で受け止めればよかった

去りしとき      584

去りしとき 年月経てば 過ぎ去ったことは 消えゆくはずなのに 忘れられぬばかりか ますます強く心もえぐる 気づかずによいことに 気づいてしまった 年月は流れ 人は去り どうすることもできない あのとき気づいていれば どんなに幸せになっただろうに うっか…

小石ころころ     583

小石ころころ 道端に転がっている小石にも それぞれ心あり 思いもあります その小石が たとえば 愛を語ったり 夢を抱いたりすることもあるでしょう 小石にすぎた身分なんていわないでください 飾り気のない小石は 誰よりも純で素直なのです 心を隠すなんてこ…

操り人形(2)     582

操り人形(2) そのほほえみは絶えることなく その身のこなしは板についていて 誰の目にも君は素敵な姿 君の瞳には幸福の他に何も見い出せない 少女は君になれる日を夢みて 少年は君の姿を憧れて 君は自分の美しさを知らないから 他の人が思うほど 幸せを感…

操り人形     581

操り人形 君は踊らされているのがわからない あいつにはもう決まった娘がいるのに 君はあいつにとってなんでもない ただの操り人形さ 君の捧げるその愛も 受け止めるわけもなく 報われず 思い悩むうちに 君はすっかり擦り減ってしまう それでも君は夢みるの…

思慕     580

思慕 昔 別れし その人の 雪降る窓にうつるとき 底に沈みし 我が血潮 ほのかにたぎりぬ 花散りし 心の酔ひの慰めに 君と歩きし この道も 白く悲しく 乾きにけり 鳥飛びし 心の声の歓びに 君をみつめし この街も 今はただに 羽を休めぬ 雲染めし 心の旅の終焉…

それしか     579

それしか いつものように 戻ってくる手紙は あてのない僕の心のさまよい 君の香に触れることなく 僕の涙でしめった文字を 乾かして帰ってくる 届く日もあろうことかと 儚すぎる望みをたくして それしかない それしか・・・

風     578

風 無性に 何かを話したいとき そっと 耳を貸してくれる人がいた そして ふっと ほほえむ人がいた それだけで 僕の心は 洗われて ここちよい風が 吹き抜けた その風は 今はいずこ どこへ 行ってしまったのか

かごのなかの鳥     577

かごのなかの鳥 とても美しく整った羽でした たくましく伸びた羽でした いつも考えるのです この羽でどこまで飛べるかって いつも思うのです あの雲の上までいけるだろうって 空想の世界が あの青空よりも広いのは 不思議なことです そこにいる限り いつも飛…

届かない想い     576

届かない想い プラットホームの片隅に 青いブレザーを着て 水色のショルダーを 細い肩にかけていた 少女らしさが まだ抜け切れないまま すっと つまさきを見る そのしぐさは なんとなく 女らしく なってしまって 美しく なってしまって 遠く なってしまって …

命綱     575

命綱 あきらめてしまえば すべて終わりだよ 君は 気づいていないだけさ 君がなんとかつかまってきた その綱は命綱だってことに なんとなく 手を離してしまえば 君はまっさかさまに落ちてしまうさ 気持ちのよい陶酔感に浸りながら 気づいたときは どん底さ だ…

小悪魔     574

小悪魔 君は天使の顔をした小悪魔 君のそのほほえみに出会った奴は たちまち恋のとりこにされる 罪深い君は 何も知らないで まばゆい顔をしているけれど その瞳が その口もとが どれほど純な心を傷つけてきたか 君は知らない 何にも だから恐ろしい 君は 君…

今もここで     573

今もここで 今日も一人 またいつものところで いつものように まちぼうけ 晴れてる日は 心もからりと あきらめきれるのだけど 今日のように 空が泣き出しそうな日は 空より早く 私のほほに涙 いつまで待ったらいいの そんなバカなことは 考えてしまったら ど…

.~したいときは     572

.~したいときは 眠ってしまいたいときは 眠れないものですね 今日のできごとが まるで遠い昔のことのように ぼんやりと流れてきます 笑ってしまいたいときは 笑えないものですね 僕のどこかに君が ずっと棲んでいたなんて 気づくのが遅すぎました 君と目が…

ふるさと     571

ふるさと ふるさと 思い出 心にしまわれたものを 訪ねに帰ってきました うつろになったこの心 若き日のたぎりを確かめたくて もう一度だけと 帰ってきました ああ これがふるさとの匂いです 僕の生れた街 そして 君と暮らした街 あのころの思いをこめたもの…

叶わざりけり     570

叶わざりけり 君を訪ねし愛の日は 耐え難き暑き陽も 我が心のにぎたつ思いに 叶わざりけり 君を呼びだすベルの音に はるばるいだきつ思いも 君の香 匂ひし声に 叶わざりけり 君に話せし言の葉は 一夜寝ずに考えしも 君の出だせし一言に 叶わざりけり 君との…

石ころ その後     569

69.石ころ その後 君の心が僕にあると知ってから 僕にも君しか見えなくなりました 君に何もかも話し 君は何もかも聞いてくれました 僕は本当に一人ではなくなりました 君は笑うことができました その瞳を輝かし まばゆい美しさをふるまき 僕に唯一のかけ…