史の詩集  Fuhito Fukushima

福島史(ふくしまふひと)の詩集です。

2021-12-01から1ヶ月間の記事一覧

君はいつものように     520

君はいつものように このまま 遠く離れてしまってもいいの 君はいつものように 顔色も変えず いつものように 背を向ける そのさりげなさに さようならの一言は 切りだせない 他人以外 何でもなかったんだね ああ 恋人までとはいかなくても もう少し やさしく…

だから今日の今     519

だから今日の今 今 君とテーブル はさんで話してる この幸せな時間も あの柱時計の振り子が 揺れるごとに 思い出つまって 刻まれているんだね いつも いつも いろんな出来事が知らぬうちに 刻まれて 過ぎ去りし日を 大切に残してくれる だから 今日のことも …

イカルスのように     518

イカルスのように 愛する人と二人 希望の列車に乗って 地上から飛び出しました 空に引かれたレールを ずっと 汚れた世界を 下にみて のぼっていきました 二人だけの美しい夢が 壊れないうちに 輝く太陽 目指して 旅立ちました 愛する人と二人 胸一杯の幸せ求…

何もない     517

何もない 何もない たしかに 何も 何もない 頭の中は 空っぽで 金もなければ 朝もない 昨日がないから 今日もない ましてや 明日が来ることもない、 昨日を思えば 何もない 明日にかける 何もない 今日やっていることは何もない だから、明日の昨日も何もな…

都会にて     516

都会にて 都会にあこがれて 家を出てきた 半年前のぼくは 希望にもえていた 人がいる モノがある だからー それがどうした それだけだ 必要なものは何もない ビルの切れ目の青空よ 顔一つ変えぬビルの間に人よ 主人公のいない都会の中に ひっそりと息づく、…

そんなときには     515

人は皆 悲しいことに出会うと 自分を不幸な奴と決めつけたがる 過ぎてしまえば ほんのちっぽけなことも 悲しさに浸っているとわからない すれ違う人が妙に気にかかり 知らん振りしていた風に話しかけたくなる そんなとき 誰も自分に答えてくれない そんなと…

おやすみ     514

おやすみ 君は今日を終えてしまうの そう 私は眠る 今日とはさよなら 君は今日が惜しくはないの そう 私には 明日があるから 私は 朝が来るから 眠る・・・

人間は     513

昔 昔 サルから進歩した人間は 二度とサルに戻るまいとして 一所懸命 働き 休む暇もなく あくせく働くことで 人間として認められました

忘れないで     512

君は何か忘れはしまいか 君の胸の中の あこがれの世界 あの青い空 白い雲 赤い太陽 そのなかの伸びやかな君 その美しさ 悦び 夢のような世界を訪ねてごらん そう そこは地球だ 日本だ この世の中なんだ 遠い その世界は 君の目の前にある それを気づかないだ…

夢     511

あなたと二人 夕暮れのボートで あの遠くの島まで 漕いでいきたい 誰もいない 青い空の下の緑の島 あの島には 夢がある 希望がある あなたとぼく 他には何もない 自由になれたら 苦しさなんて あの白い雲にのせて 飛ばしてやる いつか 必ず行くよ 君を乗せて…

救世使     510

この世は闇か 神よ 仏よ 我らを何のために世に遣わした 我らを何のために 人間にした この苦しみは 前世なのか この毎日は 来世ゆえの試練なのか 地上に立てないまま 埋もれてしまった 我ら 自由という名のもとに 自由さえ 奪われた我ら 空を青く 山を緑に染…

卒業     509

友よ どこへ行くんだい 来年は みんなバラバラ もう会えはしないかもしれない 別れる前に 何か思い出して ぼくらの歌を歌ってみよう 若かった 無邪気な時代 二度と戻らない 今日の日をなごりおしんで さあ 歌おう さあ 踊ろう

停車場の夜     508

停車場は、ずっと向こうにある 夜に 汽笛がひびいて レールの振動が 手元に聞こえるけれど 思ったより遠いところにあるんだ 人っ子一人 いない道を さっきから ずっと 歩いてきたけど ずいぶん疲れたよ この山を越せば 見えるんじゃなかったかな 遠くにぽつ…

太陽と月     507

太陽と月 君がほほえむと ぼくの世界に朝日がのぼり 君が笑うと ぼくは真夏の太陽のなか 君がいると ぼくはうすくなり いつのまにか 君の目には入らない 君が帰ると ぼくはくっきりと いつもどおり 君をまねて輝く 君が口をつぐむと ぼくの世界に夕日が沈み …

あのころの     506

あのころの 人の寂しさに気がつかなかった 目を伏せてはしゃいでいた そんな時代が積み重なって 人の悲しさを知らないまま いつのまにか 孤独になって そんな寂しさが 胸につまって 人の悲しさを知るようになった あのころ 君は あのころ あいつは そして今 …

音信     505

お久しぶりですね 真夏の日差しがカンカンで 空も山も鮮やかになりまして 活気に満ちた夏ですね 心の傷が癒されて ちょっとした風の吹き回し お電話したくなりました あれからなぜか3年も いつのまにか 過ぎたなんて ところで ところで お変わりありません…

孤独     504

悩ましいふりをしたくはない 心の中の重荷に顔を拝ませて それでどうなるわけでもないから 笑っていよう せめて顔だけでも 笑っていれば幸せそうーに 見てもらえるーそして 誰かを幸せにできるかもしれない それとて私の本当のほほえみは 幸せは 手に入るわ…

哀しき偽善者     503

うるわしくも美しき希望を抱いて あなたにやっと近づいた そうだ それは その日までの わたしのすべてだった そして それは その日からの すべての始まりのはずだった そうあなたを振り返って 手を差し伸べる あなたは女性だから・・・ その愛する権利を求め…

あこがれ     502

あこがれだったんだね あのかろやかな歳月は 思い出にしてしまうほど 古くはないけど あたためておけるほど 大切なものではないし 振り切ってしまえるほど 思い切れるものではない それが思い出の そしてあこがれのかなしさよ あこがれだったとしたら どうし…

流れ星     501

流れ星 夜が深まって ちょっとした気まぐれに 窓を開けて 何となく風にあたっていると 妙に悲しくなっちまう 何もかも闇の中に すっと溶け込んでしまって もう戻ってこないような とても大切な人と別れているような・・・ 寂しさが胸をつく 何も考えず黙って…

落ち葉の恋     0064

落ち葉の恋 言の葉が 走りゆく我が身の 突風に舞い あなたは 落ち葉の行方を 見る ー見るだけだ、 それも腐るだけの 落ち葉を

愛しき人に     0063

愛しき人に 僕は美しいものを愛します 日本の山、川、空、海、そして あなた あなたは沈黙によって 忘却の彼方へ逃れようとするのですね 確かに僕の愛は薄れゆき あなたは消え去り始めています でも僕が生きている限り 僕の過去は存在します そして そこには…

祈り     0062

祈り 私の涙が白い丹前に うす紅に染まりました レモンの香ほりが、天に昇って 小さな星粒になりました 絹のなめらかさが つとおいた私のくすり指を切りました ポツリとこぼれた鮮血は あなたにはじかれました 美しいもの 冷たいもの 幼いものに 罪はないの…

人生カレンダー      0061

人生カレンダー 大人になりたかった毎日のカレンダーは 僕の手で破ったものだった ある日ちょっとした気配に背後を振り返った 僕は破り捨てられた日々が 巨大な山となって追ってくるのを見た 僕は怖くて手を止めた そのときから僕の破った覚えのないカレンダ…