史の詩集  Fuhito Fukushima

福島史(ふくしまふひと)の詩集です。

今日はとても     527

今日はとても

 

雪が降りました この町に

二人の乾いた心を癒すように

冷たい風に流されて

いつもの坂をのぼり 同じ角を曲がり

電話ボックスで立ち止まり

 

君は送ってくれた

いつも別れる曲がり角まで

さようなら いともさりげない

君のことばは かすかに震え

背を向けたぼくの肩に 手編みのマフラー

 

これが君の最後のやさしさ

 

去年より 十日早い初雪です

今日はとても冷え込みます 身も心も

 

君の目にうるんだ涙がこぼれました

あわてて去ったぼくですが

何も考えず外の雪景色をみていました

汽車はぼくをどこに連れていくのでしょう

 

行きつくところまで

ぼくは心のアルバムを整理します

そこからまた 新しい人生が始まります